2025年4月17日(米国時間)、日本の赤澤経済再生担当大臣はワシントンD.C.でトランプ大統領やベッセント財務長官らと初めての閣僚級交渉を行った。翌18日に帰国した赤澤大臣は、羽田空港で記者団に対し、「アメリカの関税措置は極めて遺憾であり、一連の措置の見直しを強く申し入れた」と述べ、日本側の主張を明確に伝えたことを強調した。
今回の交渉では、トランプ政権が日本からの輸入品に課した24%の自動車関税、また電子機器や半導体など幅広い分野に対する追加関税が主な争点となった。日本政府は、これらの措置が日米貿易協定との整合性を欠くと指摘し、関税の撤廃を強く要求した。しかし、トランプ大統領は「大きな進展があった」と交渉の成果を強調する一方で、具体的な合意には至らなかった。
関税措置の影響は深刻で、日本の主要産業に波及している。特に影響が大きいのが自動車産業で、日産やトヨタなど主要メーカーが年間約2.5兆円の損失を被る可能性が指摘されている。日産はメキシコから米国への輸出台数が年間32万7,000台に及び、利益が最大56%減少する恐れがあるとの予測もある。トヨタも米国内での生産拠点の拡充を検討しており、生産体制の見直しを迫られている。
また、電子機器業界でも、ソニーやパナソニックなどが追加関税による価格競争力の低下を懸念している。帝国データバンクによると、製造業を中心に約1万3,000社が何らかの影響を受けると予測されており、日本経済全体への影響も懸念される。大和総研は、この関税措置により日本の実質GDP成長率が0.6%低下する可能性を試算している。
赤澤大臣は、「トランプ大統領や米国閣僚が何を重視しているのかを精査し、次回交渉に向けて万全の準備を進める」とし、次回の交渉を4月中に再調整する予定だと述べた。
石破首相は18日夜、赤澤大臣との会談後、「具体的な前進が得られるよう、政府内での検討や調整を加速するよう指示した」と明らかにした。また、国内産業への影響を最小限に抑えるための企業支援策の検討を指示している。
関税問題に端を発した今回の日米交渉は、日本企業に大きな負担を強いており、政府の対応が今後の日本経済の行方を左右する重要な局面となっている。今後の交渉の進展に国内外の注目が集まっている。