カナダに新首相誕生、マーク・カーニー氏 - Journamics

カナダに新首相誕生、マーク・カーニー氏

カナダの自由党(与党)は3月9日、マーク・カーニー氏を新党首に選出した。これにより、ジャスティン・トルドー首相の後任として、新たな首相に就任することが決定した。

マーク・カーニー氏の公式X。「ありがとう。我々は団結している時に最も強い。


カーニー氏(59歳)は元々金融業界をバックグラウンドに持つ。2008年からカナダ銀行(カナダの中央銀行)総裁を務め、さらに2013年からは初の外国人総裁として、イングランド銀行(イギリスの中央銀行)を率いて、金融危機やブレグジットに対応した。
今回の党首選挙では、85.9%の支持を得て圧勝。投票には15万人以上が参加した。今週初めに首相に就任する見込みとなっている。

しかし、カーニー氏は先述のように金融業界では輝かしいキャリアを持つが、政治経験がない。そのため議席を持たず、近日中に連邦選挙を実施し、国民の信任を求める予定だ。
対抗馬は保守党党首のピエール・ポワリエーヴ。世論調査では、カーニーが優勢との声が上がっている。


背景には、米国のドナルド・トランプ大統領の動向がある。トランプ大統領はカナダへの関税をちらつかせ、「51番目の州」と言った挑発的な発言を繰り返している。

さらに、カナダを介して米国に流入する合成麻薬「フェンタニル」の問題を批判し、薬物対策の不備を理由に関税強化を主張してきた。

カナダ経済は米国依存度が高く、輸出の7割以上が米国向けだ。カーニー氏は就任演説で「カナダはアメリカの一部にはならない」と強調。報復関税を維持する方針を示した。

国内では、住宅価格の高騰、生活費の上昇、移民増加による社会負担が課題とされる。豊富な天然資源の活用法も議論の的だ。カーニー氏はグリーン投資を推進してきた経歴から、環境と経済の両立が注目される。


北米大陸の国際関係はこれまで概ね良好で、特にカナダとアメリカは長い歴史を通じて緊密なパートナーシップを築いてきた。両国の非武装国境は世界最長で、NATOやG7、NAFTA(現在のUSMCA)を通じてヒト・経済・文化が深く結びついてきた。

連邦選挙は遅くとも2025年10月までに行われるが、トランプ氏との対立次第で早期化する可能性がある。カナダの次期政権は、経済防衛と主権維持を迫られる局面に直面している。