2025年度予算案、年度内成立へ正念場 - Journamics

2025年度予算案、年度内成立へ正念場

新年度まで残り1週間、予算案(2025年度予算案)の国会審議が大詰めを迎えている。いまだに成立のメドが立っているとは言い難く、もし間に合わなければ新年度にずれ込み、暫定予算の編成が必要な局面だ。
年度内(3月31日まで)の成立を目指す与党と、十分な審議時間を求める野党の間で調整が進んでいる。


目下の注目点は参議院での審議だ。自民党の石井参議院国対委員長は、「土日も使って審議時間を確保し、何とか年度内に」と、現行の予算案の「高額療養費制度」を再修正し、成立に持ち込む意向を強く示している。

一方、最大野党の立憲民主党:斎藤参議院国対委員長は「石破首相の10万円商品券配付問題で審議が深まっていない」と指摘。審議が不十分なら暫定予算も視野に入れるべきとの立場を示している。


現行の予算案は、石破首相が2025年3月7日に『高額療養費制度』を見直すと表明する以前に衆議院で可決されたものだ。これは高額な医療費の自己負担を軽減する制度で、このまま審議が進まなければ、再修正がなされないまま、衆議院通過から30日後の4月2日に憲法60条の定める自然成立となる。自民党の小野寺政務調査会長は3月22日の講演で、「国民から『何をやっているんだ』と批判される」と危機感を露わにしている。

▼ 参考記事:2025年度予算案、「高額療養費制度」見直しのため再審議へ


実は、過去にも年度内成立が間に合わなかった例が存在している。

① 1992年度予算:政治資金汚職事件の影響で審議が混乱し、暫定予算で対応した。

② 2008年度予算:ねじれ国会で野党の抵抗が強く、同じく暫定予算が活用された。

③ 2011年度予算:東日本大震災の発生で審議が中断し、こちらも暫定予算でしのいだ。

これらのケースでは、いずれも暫定予算が編成され、新年度開始時の行政サービス停止を防いでいる。暫定予算は本予算成立までの「つなぎ」として、数日から数か月間カバーされた。2025年度予算案でも、年度内成立が間に合わなければ、短期間の暫定予算が編成される可能性がある。

今回の予算案が揉めている理由はいくつか挙げられている。まず、2024年10月の衆議院選挙で与党(自民党・公明党)が衆議院の過半数を失い、215議席(定数465)にとどまったことが大きい。与党は参議院で過半数を維持しているものの、衆参で多数派が異なる「ねじれ国会」に近い状態が、野党との調整を難しくしている。加えて、石破首相の自民党若手議員への「商品券配付問題」が野党の追及材料となり、審議時間が割かれているのも一因だ。

自民党の小野寺政調会長も「少数与党での年度内成立は憲政史上初」と述べ、異例の難しさを認めている。新年度まで残り1週間を切った今、年度内成立か、暫定予算への移行か、日本の予算審議が正念場を迎えている。