新型コロナウイルスによるパンデミックから数年が経ちました。
社会は日常を取り戻しましたが、一方で日本経済には円安やインフレ、そして慢性的な低成長という不安材料がのしかかっています。
- 円安
輸入コストが上がり、エネルギーや食材の価格も上昇 - インフレ
物価は上がるが、賃金も追いつくとは限らない - 低成長
国内の実質GDPがあまり伸びない。財政再建も進みにくい
こうした状況が続けば、家計にとっては生活費の増大や手取りの伸び悩みが重大な問題になります。
同時に、国にとっては社会保障給付(年金・医療・介護)の増加が抑えにくいため、税や社会保険料の負担を増やさざるを得ないかもしれません。
一体、将来私たちの税金や社会保険料の負担はどうなるのでしょうか?
そして、期待している年金や医療・介護サービスは本当に受け取れるのでしょうか?
今回のコラムでは、ChatGPTのサポートを受けながら「世代会計」をざっくり試みてみました。
世代会計とは、政府の財政負担(税金など)と給付(年金や医療など)を世代ごとに比較し、将来世代への影響を分析する手法です。
これにより、現在の政策が若い世代や未来の国民にどのくらいの負担を残すかを試算できます。
円安・インフレ・低成長という“三重苦”が続いた場合、将来の社会保険料や税金、年金・医療費のバランスはどう変わるのか?
「0歳・20歳・40歳」の3世代を例に、将来の負担と給付のバランスがどう変化していくかを試算してみました。
■ 将来世代の負担をざっくり試算
下表は、「実質成長率:0.5~1.0%」「インフレ率:2~2.5%」という、やや厳しめの見通しを含むシナリオでの生涯の負担と給付をまとめたものです。
対象は、これから一生分の制度をフルに経験する0歳、若手社会人の20歳、すでに中堅となって保険料を払い続けてきた40歳。
生涯賃金は名目で2.5億円前後をイメージしています。
● 結果:生涯純負担は「若いほど重い」

※ 試算レンジを広めに設定しました(インフレや経済成長の差を考慮)。
- 0歳が受け取る頃の年金や医療・介護は、財政難でさらに抑制されている可能性が高い。
そのため、「払う総額 > 受け取る総額」が大きく開いて、純負担が最大になりがち。 - 20歳は、これから働く期間が長く、保険料や税を長期にわたり支払う一方、給付はこれからさらに抑えられる見込み。
結果として4,500万~6,500万円の大きな純負担。 - 40歳は既に保険料を払ってきた期間があるため、比較的以前の制度恩恵を一部受けられる。
とはいえ、将来の給付水準は不透明で、3,500万~4,500万円ほどの純負担が想定される。
IMFや政府試算と比べて、そんなにズレてない?
「こんな厳しい前提、本当にあり得るの?」と思うかもしれません。
でも、IMF(国際通貨基金)が示す日本経済の見通しは、実質成長率1%前後+インフレ2%台。日本政府(内閣府)も、実質1%程度の成長を想定していることが多いです。
海外のメディア(Financial TimesやWall Street Journalなど)も、「日本の長期的な実質成長率は1%を下回る可能性がある」としつつ、エネルギー価格や円安を踏まえ、「物価は2~3%ほど上振れもあり得る」と記事にするケースも。
つまり、「実質成長率0.5~1.0%+インフレ2~2.5%」という条件は、決して荒唐無稽な想定ではないわけです。
補足:ざっくりした計算式
- 生涯純負担 = (sum (text{税負担} + text{社会保険料}) – sum (text{年金給付} + text{医療・介護給付}))
- 将来の負担・給付を名目成長率(2.5~3.5%)で割り引いた現在価値合計。
- 賃金上昇やマクロ経済スライドによる給付抑制、社会保険料率の漸増などを踏まえた簡易モデル。
「もしも」のシナリオで変わる未来
1) 医療・介護負担がもう少し高齢者にも分散されたら
- 後期高齢者の負担割合が2割や3割に引き上げられれば、若年層の医療保険料負担は幾分軽減されるかもしれません。
- ただし、あまりにも急激に高齢者負担を増やすと「生活困窮に直結する」「政治的な反発が大きい」といった問題があり、実現は容易ではないでしょう。
● 高齢者負担増シナリオによる若年層の「生涯純負担」軽減イメージ
世代 | 減少幅の目安 |
---|---|
0歳 | ▲100万円程度 |
20歳 | ▲80万円程度 |
40歳 | ▲50万円程度 |
※ 後期高齢者の自己負担割合を現行1割→2割へ大幅に拡大した場合の概算。
2) 経済成長率が上向く可能性は?
- もしも実質成長率が1.5~2%に上振れすれば、名目成長率が3~4%程度にまで拡大します。
国の税収も増えて、結果的に社会保険料の上昇が緩和されるかもしれません。 - 一方で、インフレがさらに加速してしまうと、実質賃金の伸びが限定的になるなどのリスクもあります。
● 経済成長率が1.5~2%に上振れした場合の「生涯純負担」軽減イメージ
世代 | 負担軽減の幅 |
---|---|
0歳 | ▲700万円程度 |
20歳 | ▲600万円程度 |
40歳 | ▲400万円程度 |
※ 高成長に伴い税収が拡大し、社会保険料率の引き上げペースが緩和される想定。
3) スタグフレーション(不況+物価上昇)が長期化したら
- 景気が悪いのに物価だけが上がり、賃金は上がりません。
若年層を中心に手取り収入の実質目減りが顕著になります。 - 社会保険料や税率は名目所得に応じて着実に増え、給付はマクロ経済スライド等で抑えられます。
結果として「負担だけ重く、受け取りは軽い」という最悪の展開があり得ます。
● スタグフレーションで負担が増えるイメージ
世代 | 負担増の幅(概算) |
---|---|
0歳 | +300~+600万円 |
20歳 | +200~+500万円 |
40歳 | +100~+300万円 |
※ 不況下で賃金の伸びが停滞する一方、物価上昇により名目保険料・税が増大し、給付は抑制されやすいケース。
【まとめ】 「0歳の納税」…見過ごせないほど多い?
一番インパクトの大きいのは、やはり今後の人生がまだ長い「0歳(や幼児世代)」です。
– 生まれたばかりなのに、人生で稼ぐであろう賃金に対し、4~5割が税金や保険料として“社会へ”流れる可能性も。
– しかも、その分の給付がしっかり戻ってくるかは怪しい…。
– 「0歳の納税」という言葉は奇妙に聞こえるかもしれませんが、将来的に負担をすることが既に決まっていると考えると、見過ごせないほど大きいと感じませんか?
(本試算はあくまで概算モデルに基づくものです。実際の政策や経済状況等により結果は変わり得ます。投資・資産運用を行う場合は自己責任で最新情報を確認の上、慎重にご判断ください。)